【東北の銘石ツアー第1弾】イサム・ノグチが愛した伊達冠石はやっぱり魅力的でした

杉並区荻窪の石材問屋・大徳石材工業の大代(おおしろ)賢太郎です。

さて、今週は事務所天井の水漏れ(上階の給湯管の亀裂が原因でした…)から始まりバタバタとしておりますが、注文していた伊達冠石の石塔が出来上がったとご連絡をいただいたので現地へ検品に行ってきました。
また、行ったついでで2日間に渡り宮城県、福島県の丁場や工場も巡ってきましたので、これから数回に分けてレポートをお届けしたいと思います。

初日は本来の目的である伊達冠石の採掘元、大蔵山スタジオ様からスタートです。
到着してまず目を引くのが本社事務所で、敷石や外壁、景石とふんだんに伊達冠石が使用されています。 事務所の中に入ると手元供養の小さなお墓や位牌、お椀などが並び、さながら美術館の様な雰囲気を感じさせます。
話を聞くと多いときでは全体の7割くらいが建築関係の仕事(商業ビルや公園、老人ホーム、一般住宅など)だそうで、数年前からお墓以外にも多様な使い方を展示会で提案することで異業種や一般の方へ認知されるようになり、取引先の幅が広がったとおっしゃっていました。

次は採掘場の様子です。
白石蔵王駅から車で15分程度走るだけでこんな景色を見られるのも驚きです。採掘作業は数ヵ所でおこなっており、この場所はどちらかというと玉のような原石が出やすいようですが、別の場所からは長さ6mほどの長細い原石が採掘されたこともあり大小様々な形の原石が採掘されています。
このように土の中に埋まっているので、ユンボなどで掘り起こすと原石がどんどん出てきますが、表面の皮肌がこの石の魅力でもあるので、気を遣いながらの採掘作業になります。
採掘した原石はおおよそのサイズごとに積まれていて、この中から希望の寸法や形を厳選して加工をします。
「加工します」と簡単に言いますが、実はこの加工が非常に厄介で、後ほどご紹介しますが伊達冠石は非常にキズが多いのです。

次は工場です。
大口径や中口径、自動及び手動研磨機、オフカット、穴掘機などが揃っていて、広くはないものの一通りの加工が出来るようになっています。

こちらに今回依頼した石塔もありましたので検品をしました。まだ写真ではお見せできませんが、問題なく非常に良いものが出来上がり一先ずは安心です。
しかし先述したように仕上がるまでには削って磨いてはキズの確認を繰り返し、竿石だけでも5個目にしてようやく出来上がったそうで、1組の石塔を作るのにも大変苦労をされているのが非常によくわかりました。※白チョークで印をしてある部分にキズがあり、このまま磨くと白いスジとなって表れ、水分を含むと徐々にキズが広がっていきます。
他にも工場では作り途中の製品や展示品も多く見られ、伊達冠石の様々な表情が楽しめるのも大蔵山スタジオ様ならではだと思います。
外柵の一部に伊達冠石を使用しアクセントを付けるのも面白いですね。

こちらは大蔵山スタジオ様がお施主様へ直接提案をし採用されたデザインだそうで「安らぎ」の文字が彫られるあたりは少し磨いています。伊達冠石を良く理解しているからこその提案でしょうか。

水磨き仕上の石塔も渋くていいですね。水磨き仕上と野面を組み合わせた「玄(くろ)」というシリーズも好評なようです。
アイデア次第で様々な表情を見せる世界でも稀な石材「伊達冠石」。墓石関係のみならず建築関係や造園関係の方からもお問い合わせをお待ちしています。

石材問屋・大徳石材工業株式会社 大代賢太郎
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