【芦野石・白河石】採掘・加工方法そして素材の魅力を徹底解説します!

杉並区荻窪の石材問屋・大徳石材工業の大代(おおしろ)賢太郎です。

先週、ご注文いただいていた芦野石(白目)の親柱と羽目が入荷してきました。

当社は、都内近郊の問屋では珍しく芦野石と大谷石中目の一般材(四十や五十など)を常に在庫で有しており、今回の様なオーダーでも承っていますがここ数年、加工できる職人さんが石材店様にいなくなってしまったことと中国材が手軽に仕入れをできることもあって使用頻度がめっきり少なくなってきました。

そんな芦野石や白河石ですが、それでも関東を中心に昔から外柵や石塀、建築材などで使用されているため、お施主様に補修等を依頼されて、たまに使用せざるを得ない状況もあるでしょう。
故にあまり知識がないなど取扱いに不安を感じる石材店様もいらっしゃるようですので、芦野石と白河石を徹底解説していきたいと思います。

まず芦野石と白河石の採掘地ですが、芦野石は栃木県那須郡那須町付近で、白河石は福島県白河市大信増見付近です。
火山岩としては安山岩に分類しますので耐久性はもちろん耐火性にも非常に優れていて、古くは6世紀頃遺跡群の石室や白河市の白河小峰城の石垣、近年では墓石、鉄道工事、住宅の門柱、敷石、石蔵、土木、造園と多岐に渡って使用されてきました。

見た目が非常に似ているため、同じ石として取り扱われることも多い芦野石と白河石ですが、芦野石は白目と赤目、白河石は白目と黒目に主に分けられ、白河石(白目)の色調はやや赤目に近く、石目に流れがあるのも特徴です。
採掘は当初、ツルや発破による手堀りでおこなわれていましたが、昭和30年後半頃になるとチェーンソー式の採掘機械が導入され、今でもこの方法が主流となっています。ちなみに同じ中硬石の大谷石や札幌軟石なども同様の方法で採掘がおこなわれています。
写真は白河石の採掘場ですが、手前に写っている電車のレールのようなものに載っているのがチェーンソー式の採掘機械で、動画は大谷石の採掘場で実際に作業がおこなわれている様子です。

この機械で基本的には約3尺×1尺×1尺×で裁断していき、溝にクサビを打ち込んで、岩盤から引きはがします。次の動画も大谷石の採掘風景ですが、採掘方法はほぼ同じです。

下は採掘された芦野石の約3尺×1尺×1尺の原石です。長さ3尺以上の原石も採れますが手間がかかるため単価が割増になります。
この原石を切断機で切削して、四十(4寸×1尺×3尺)や五十(5寸×1尺×3尺)といった一般材にしていくわけですが、昔ながらの方法だと切断機もチェーンソー式になっていたため片面が必ず下のようなチェーン挽目になっていました。しかしここ数年ですっかり職人さんも高齢化し後継者不足もあり、微調整が必要な切断機を使用できる方がほとんどいなくなってしまい、現在はみかげ石と同様にダイヤモンドブレード式の切断機で切削することが多くなっています。
また中硬石のため非常に加工がしやすく、多磨霊園のような大きな墓地を行くと様々な方法で加工された芦野石や白河石を見ることができます。
写真上からダイヤ挽き仕上(荒摺り仕上げやサンダー仕上ともいう)、ビシャン仕上、刃ビシャン仕上、コブ出し仕上、小叩き仕上、トンボ仕上、ストライン仕上(チェーン挽目と非常に似ていますが、専用機械でラインを付けるため、一定の間隔でより深く線を入れることができます)と当社で通常、提供させていただいている仕上げだけでもこれだけあります。
他にも安山岩の優れた耐火性を活かし、炉に入れて高温で焼くことで徐々に赤色っぽく変化を付けることもでき、その加工方法は建築家の隈研吾氏が設計した「石の美術館STONE PLAZA」でも取り入れられています。

さて、徹底解説ということで非常に長くなりましたが芦野石や白河石の素材の魅力を感じていただけましたでしょうか?
調湿作用もありカロートや住宅の内装などにも向いていますので、ぜひ積極的に取り入れてみていただければと思います。
その他にも芦野石・白河石について、ご質問等がございましたら下記までお気軽にお問い合わせ下さいます様お願いいたします。

石材問屋・大徳石材工業株式会社 大代賢太郎
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